KYOSUKE


何とかお嬢の希望の商品をいつくかカゴに入れて、カートを引いて彼女と二人で店内をふらふら。


「サンキュ~♪キョウスケのお陰でいい品物ゲットできたよ♪」


お嬢は俺の隣でにこにこ。


俺は主婦パワーにやられてぐったり。髪はぐしゃぐしゃだったし、シャツはよれよれ。


戒さんのお兄さんたちよりもパワーがあるんじゃないか。


この世で最も恐ろしいのは、あの仁王のような龍崎会長じゃなくて特売にすべてを賭ける主婦なんじゃないか…


あぁ恐ろしい。


そんなことまで思ってしまう。


だけどお嬢は何事もなかったかのように、やっぱり涼しい顔。将来はたくましいお嫁さんになるだろうな。


「あ、安い!今日は冷奴にしようぜ~」


なんて豆腐を手にしたり、「キョウスケ、お前アジは好き?」と聞いては魚のパックを見せてくる。


「魚は何でも好きですよ」


「んじゃ、今日はアジの竜田揚げ、おろしポン酢和えにしよっかなぁ♪」


なんて言って嬉しそうにしてるお嬢の横顔を見ると、やっぱりついてきた甲斐があったな、って思う。


「いいですね。うまそう」


俺が答えると、お嬢はさらに嬉しそうににっこり笑った。


ふいうちに笑顔を見せられて俺の心臓がドキリと跳ねる。





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