KYOSUKE
ブォン!
派手な音がして…って言うか恐らく違法だろうな。改造した原付が走り去った。
「あ、逃げた!」
お嬢は、ぐったりした犯人の一人の胸座をまだ掴んでいるから、最初に飛び蹴りを食らわされた方の男が走り去ったのだろう。
仲間を見捨てて逃げるとは、どうゆう神経…
俺は荷物を近くにいる主婦に預け、おばあさんを頼むと、迷わず走り出した。
走りながらきょろきょろと素早く視線を辺りに向けると、
運よく歩道の脇でヘルメットを脱いでいる途中のライダーを見つけた。
バイクはヤマハのFZ-6。
600cc、と俺のシャドウファントムに比べれば、馬力が少ないが、原付を追いかけるには充分だ。
俺はその男に走り寄ると、バイクを降りようとしているライダーから強引にハンドルを奪った。
「借りるで!」
「はぁ!?何言ってんだ!」
ワケもわからないライダーは、俺を睨んで怒鳴ってきたが、
「黙れや!いてまうぞ、こらぁ!!」
と睨みを利かして怒鳴り返すと、男は顔を青くして両手で降参ポーズを作った。
「おおきに」
俺は一応礼を述べて、右グリップのスロットルを捻りエンジンを吹かすと、原付の後を追った。