KYOSUKE


その後の調べで引ったくり犯は、二人とも大学一年の未成年者だった。


お嬢は俺がどうやってひったくり犯をとっ捕まえたか、深くは聞いてこなかった。


俺は知らなかったが、この近隣では最近引ったくりによる強盗が多発していたらしい。


その大半が今回パクられた(捕まった)二人組みの仕業だった。


この近隣の他、各方面にも改造した原付による引ったくりの目撃情報が寄せられていて、警察では余罪を追及している―――と言う。


とまぁ、俺にとってひったくり犯と警察の事情なんてどうでもいいことで―――






『あの女が黄龍の―――片割れや』



『単なるたとえ話や。そうやったら面白いな、って言うこと』





俺は戒さんが前に言っていた言葉を思い出した。





伝説の黄龍―――


日本の極道会のトップに立ち、構成員全てを統べる者。








その姿は、美しく気高く―――孤高の龍




まさかお嬢が―――……?






「キョウスケ~♪今日はさんまの塩焼きだぜ。お前好きだったよな♪」


お嬢は相変わらず元気で可愛い。


太陽みたいな明るい笑顔を俺に向けてくる。


「え…ええ……」








お嬢が黄龍―――?





だとしたら、俺はどうするべきか。





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