KYOSUKE


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――


例のごとく俺はむしゃくしゃしてたので、シャドウファントムで夜の街をやたらめったら飛ばした。


もちろん遅くなることはお嬢に報告済みだ。


苛々した面持ちで街を駆け抜けると、どこをどう走ったらそこへ行き着く?って突っ込みたくなるような場所に出てきた。


やたらとピンク色のネオンがきらめく道路。


そう


ホテル街だった。


「何一人で来てんねん。イタ過ぎるわ」


自分に突っ込みを入れると、俺はバイクをユーターンさせようとハンドルを握った。


そこへ


「やめてください!あたしっそんなつもりじゃないんです!」


と、聞いた覚えのある女の声…っていうか叫び声?が聞こえて、俺は振り向いた。




一組の男女が一つのホテルの前で言い合いをしている。と言うか、男の方が強引に女を連れ込もうとしていた。


ホテル街だと言うのに、歩いている人は居ない。辺りはしんと静まり返っている。


まぁ…こうゆうところだから車で来るのが普通か。


人が居ないのをいいことに、男が女を連れ込もうとしているってわけだ。




淡いピンク色のひらひらしたスカート。


黒い半袖カーディガンに白いブラウスは見覚えのある服装だった。


構内で良く見かける“彼女”がたまに着ている服だったから。


夏休みに入って大学に行く用もめっきり減ったわけだから、彼女を見るのは実に二ヶ月ぶりだった。


「そんなつもりじゃなかったら、どうしてついてきたんだよ!」


男が怒鳴って乱暴に女の腕を握る。


「や…!」


涙声で女が声を上げて、俺はバイクをゆるゆると前進させた。




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