KYOSUKE

思えば、このときから戒さんはまだ見ぬ運命の人を探し続けていたに違いない。


少女のような甘いマスクに、ちょっと生意気な態度。それでも男女問わず誰からも慕われ、常に輪の中心にいる人間。


おまけにこの頃の戒さんは薙刀初段を取得して、JOC全国中学生なぎなた大会、全国少年武道(なぎなた)練成大会に優勝するなどの快挙を遂げていた。


必然的に彼はよくモテる。


その後、ファーストキスの相手とは付き合うことにしたらしいが、二週間で終わりを告げ、その後も何人かは彼女と呼べる女の子は居たみたい。


妹の鞠菜も戒さんに想いを寄せる一人だった。


「お兄ちゃん、戒くんて付き合うてる人居るの?」


なんて、もじもじと鞠菜が聞いてきたとき、ピンときた。


「さぁ。俺も何人かは見たことあるけど……今はどうやろな」


「やっぱ戒くんてモテるの?」


「モテると思うよ。鞠菜、悪いことは言わん。戒さんはやめとき」


本気になったら、きっと鞠菜が傷つくだけだ。


戒さんが探している女は―――もちろん鞠菜じゃない。



俺の忠告に鞠菜はむっと顔をしかめた。


「お兄ちゃんに言われたない。お兄ちゃんかてとっかえひっかえなくせに!」


グサッ


鞠菜の一言は俺の心に刺さった。


いや…とっかえひっかえってわけじゃありませんよ。


人を女たらしみたいに言うもんじゃありません。


まぁ中学に入った頃から、やたらと女の子から告白を受けるけど、付き合っても長続きしない。


何故なら俺が振られてばかりだから。


彼女らは別れるとき決まってこう言う。




「鷹雄くんって何考えてるのか分からへんわ」




と………









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