KYOSUKE
「ねぇ鷹雄くん。永遠なんてないんだよ。所詮恋愛なんていっときのまやかし」
好きだと思い込んで、自分の気持ちに浸ってるだけ。
彼女はそう続けた。
黒い瞳の中で険悪な何かが光って、俺はそれから目を背けたくなった。
「だから俺の気持ちも嘘やと?」
以前、ワケもわからない心臓の痛みに俺は河野さんに、これがなんなのか聞いたことがある。
彼女は「不治の病」と言ったが、このときから俺が誰かに恋をしていることに気付いたに違いない。
「そう言いたいんか?」
思えば俺だって女の子にこんなキツイ物言いをしたのは始めてだ。
河野さんはびくりと肩を震わせて、ちょっと眉を寄せた。
妹の鞠菜には言ったことがあるけど。
河野さんは胸の前で拳をぎゅっと握り、ちょっとまばたきをして俺を見据えてくる。
苛々した。
無性に―――腹立たしかった。
怒りがふつふつと俺の中に湧き出て、俺の中を我が物顔で上り詰めてくる。
その怒りを冷静に受け止めながらも、やっぱり俺は平静では居られなかった。
河野さんの腕を掴むと、俺は乱暴に彼女を引き寄せ、
ガタン
ガシャン!
と言うテーブルがひっくり返る音、それからグラスの割れる音を耳に入れると
俺は非力な彼女を簡単に床に沈めた。