KYOSUKE
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むき出しの肩に冷気を感じて布団を引き上げたとき、小さなシャッター音がして、俺は目をこじ開けた。
「…………」
目の前にピンクのケータイが見えて、その先に河野さんの白い手があった。昨日の服装を着た河野さんが床に座り込んでケータイをかまえている。
「………何してんの?」
「ん?記念に撮っておこうと思って♪鷹雄くんの寝顔可愛い♪」
にこっと笑った河野さんはいつも構内で見せる明るい笑顔だった。
俺は恥ずかしくなって、布団を頭まで引き上げた。
「可愛い♪」河野さんが布団の上から俺の頭を撫でた。
布団の中からでも分かる。頭上の窓から差し込む朝日が眩しい。
部屋は照明をつけなくても明るい光に満たされていた。
ってか俺…寝てた……?
無神経すぎ。彼女が寝てる間に帰ろうと思ってたのに、眠りこけるなんて。
「今何時?」
布団からちょっと顔を出して、さりげなく聞くと河野さんはケータイを覗き込み、
「朝の8時半だよ」と答えてくれる。
8時半!?
しまった!お嬢に遅くなるとは言え、外泊することは伝えてなかった。
そう気づいたと同時に、テーブルに置いた俺のケータイが鳴った。
俺も河野さんもびっくりして顔を見合わせ、そして河野さんがケータイを取ってくれた。
恐る恐るケータイを開くと、“着信:龍崎家電”となっていた。