KYOSUKE


『キョウスケーーー!!てめぇ今何時だと思ってやがるっ!?無断外泊たぁいい根性だな!』


開口一番にお嬢の怒鳴り声。


びりびりとケータイが振動しているようだ。


俺はクラッと眩暈を覚えた。


床に座り込んでいる河野さんにもこの声が聞こえたらしく、彼女はびっくりしたように目を丸めている。


「すみません。ちょっと急用ができて…」


『それならそうと連絡ぐらい寄越せってんだ!夜12時を過ぎるときは外泊扱いだっ!!必ず連絡しろっ!!』


え……?また規則?って言うか、そんな規則あったっけ??


『とにかくお前無事なんだな…今どこに居るんだよ?』


この質問には何て答えればいいのか…返答に窮した。


「えっと…友達?の家……です」


河野さんを上目遣いで見ると、彼女はびっくりしたように身を縮こませた。


『それならそうと連絡しやがれってんだ』


「はい。分かりました。すみませんでした」素直に謝ると、


『罰として今日帰りに牛乳買ってこい』


「牛乳…ですか?」


『おうよ。切らしてンだ。ココアが飲みたかったのに…』なんて電話の向こうでぶつぶつ言っている。


分かりました、と素直に返事を返して俺は通話を切った。


床に座り込んでいる河野さんを見ると、目を開いたまま、



「今の……女の子……だよね……?」



と聞いた。







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