KYOSUKE
生理痛……
そっか…そう言えばタクさんたちが二、三日前にそんなようなこと話していたような…
俺は慌てた。
それなら救急車を呼ぶほどでもないと思うけど、だからと言ってどう対処すればいいのか分からない。
妹の鞠菜のときどうだったか思い出し、俺はキョロキョロと辺りを見渡した。
「そうだ、薬…薬は?」
「薬………台所の…食器棚……」
「台所の食器棚ですね。見てきます」
俺は慌てて立ち上がった。
台所に飛んでいくと、お嬢の言われた場所にバファリンの箱が入っていて、コップに水を注ぐと、俺はそれを持ってまた茶の間に引き返した。
お嬢は仰向けに横になっていて、苦しそうに顔を歪めている。
「お嬢、お薬です」
彼女に白い錠剤を手渡し、薬を飲ませるとお嬢は吐息をついて、体を横たえた。
薬を飲んだから30分以内に効き目が現われると思うケド……
それでも心配だった俺は、このままお嬢を放っておくことができずに、すぐに貸金業で働いているタクさんに電話を掛けた。
『なにぃ!?お嬢が腹痛!?救急車は!?』
「いえ。そこまで深刻ではないんですが…」
『何か悪いもんでも食ったか??拾い食いでもしたんかな?』
この会話を聞いてたらお嬢は怒るだろうな。
そんなことを思いながら、俺は半ば呆れて
「いえ。ただの生理痛です。ただ、ちょっと今家にお嬢一人しかいないんで、様子見るつもりでついてようかと…」
『おぅ!そうしてくれっ。こっちはおめぇ一人居なくたってどうにでもなるからよ!』
ガハハと豪快な笑い声が聞こえ、
それでも…
『家に二人きりだからって、おめぇお嬢に変なことするんじゃねぇぞ!』
としっかり釘を刺されました。