KYOSUKE
いや、しませんよ。俺だって命が惜しいし。
なんて答えると、『それもそうだな』なんてタクさんはまたも笑った。
そんなわけで通話を終えると、俺は茶の間に戻った。
お嬢はさっきより少し落ち着いたみたいだけど、まだ苦しそうに顔を歪めている。
「お嬢…大丈夫ですか?」
彼女の元に屈みこみ、そっと顔色を窺うと、お嬢は俺の手を握ってきた。
汗をかいているはずなのに、その手は妙に冷たかった。
不意打ちに…ドキリと心臓が鳴る。
「お嬢……?」
「バファリンの半分は……優しさでできてるのデス…」
お嬢は目を閉じると、途切れ途切れに言った。
「はぁ」
そう言えばあったね。そう言うCMが。
お嬢は俺の手を握る力を少しだけ強めた。
「おめぇ…バファリンみたいな野郎だな……。何か……ちょっと楽……」
それは……
褒め言葉なのだろうか。
でも俺は人間のオスであって、鎮静剤じゃありませんよ。
そんなことを思ったけれど、お嬢がちょっとだけ頬を緩ませたのを見て、
ま
鎮静剤でもいいか…
この際
なんて思う。