KYOSUKE
そんな兄妹みたいな、親友同士みたいな俺たちだったけれど、
喧嘩がなかったとは言えない。
些細なことで言い合い…ってか、戒さんが一方的に怒鳴ってるだけ。
俺は本当に怒ると喋らなくなる。
そんなことも多々あった。
原因はくだないことが多かったな。
例えば、目玉焼きにはソースか醤油かでもめたこともあった。
そんな喧嘩は大抵1日で終わるが、最高で一週間喋らなかったこともある。
思えばこんなこと初めてだった。
喧嘩の終止符を打つのは、いつも戒さんだ。何事もなかったかのように普通に喋りかけてくるから、俺はいつも拍子抜けする。
だけどそのときだけは違った。
何故なら、戒さんが俺の大切にしていたホンダにのシャドウファントム(バイク)のミニチュアを壊したからだ。
1/12スケールで、お気に入りだったのに!
さすがに戒さんもこのときばかりは自分が悪かったと思ったのだろう、何度も謝っていたが、何でもない振りして口を利けるほど俺は大人じゃなかった。
中学校の屋上で、手摺に腕を乗せ、ぼんやりと空を眺めながら、
ああ…俺のシャドウファントム…
なんて感慨にふけっていると、
遠くの方で声が聞こえた。
「響輔~~~!響ちゃん………」