KYOSUKE
「キョウスケ!こないだはゴメン!!」
いきなりずいと四角い箱を目の前に出され、俺は正直面食らった。
「…え?え??」
何に謝られたのか分からなかった。悪いのは俺の方なのに…
それにこの箱は何?
見たところチョコレートが入っていそうだけど。
「あのさっ!こないだ、あたしワケもなくキョウスケに怒鳴り散らしただろ?お前はちっとも悪くないのに。びっくりしたろ!?」
恥ずかしそうに俯いて、それでもその箱を引っ込めようとはしない。
悪いのは俺。
不用意に彼女の恐怖に触れたから。
なのにお嬢は……
「これさ!今日リコから貰ったんだ。何か海外のお土産らしい。一緒に食おうぜ。って、お前甘いもんイケる??そー言えば知らなかったよ!」
お嬢は早口にまくしたて、それでも懸命に俺に箱を突き出してくる。
俺は箱を受け取った。
「甘いものは
結構好きですよ」
一生懸命なところが可愛くて、そして俺が悪いのにそれをちっとも攻めないお嬢の気持ちが温かくて
こんな人初めてだな。
こんな……優しい人は―――
俺の中はぽかぽかと満たされ、彼女にちょっと微笑みを返した。