KYOSUKE





怖かったでしょう?


哀しかったでしょう?


辛かったでしょう―――?




お嬢の夢や未来を奪っていったあの男が憎かったでしょう?




だけどお嬢はお嬢だ―――


俺はお嬢にどんな過去があろうと、どんな秘密があろうと―――




あなたを好きな気持ちに変わりはない。



あなたを悲しみに誘う何かから守ってあげたい。



あなたを




この手で幸せにしたい。





「キョウスケ……」


お嬢がぎゅっと俺の背中に腕を回し、俺の腕の中でようやく気持ちを落ち着かせたのか…


張り詰めた緊張を解き放ち、声を上げて泣き出した。


決して大声でなかったけれど、


彼女の悲しみが、俺の中に入り込んできて―――


夜の静寂がその悲しみを受け止めて、



彼女の涙がそれをきれいに流していってくれることを―――



願った。






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