KYOSUKE
縁側の引き戸は開いたまま。
それがマサさんの心遣いを現しているようだった。
俺も彼の気遣いに応えようと一歩足を踏み出し、ちょっと考えてお嬢の掘っていた土の方を見下ろした。
掻き分けられた土が山になっている。溝はだいぶ深くなっていたが、所詮は手で掘ったに過ぎない。
それほど深い穴にはなっていなかった。
ちょっと屈んでお嬢の掘った穴に手をやる。
思いのほか冷たい感触がして、ぞくりときた。
だけど思ったより硬い。
お嬢はここに秘密を隠すのだと言った。
一瞬―――ここに雪斗の死体が埋まっているのだと思った。
桜の木の話をしたときもそう思った。
だけどこの硬い土では大きなスコップが無いと掘れないし、隠そうとしても、その行動は目立つ。
マサさんは、お嬢と雪斗に何があったのか、会長と自分しか知らないと言っていた。
だから彼が消えた後も会長が、うまく組員に言い訳したらしい。
もちろん納得がいかない者も居たかもしれなかったが、会長の言うことは絶対だし、何しろ会長は雪斗の兄だ。
だったら尚更―――
こんな場所に隠す真似はしないだろう。
だったらここに何が埋まってる―――?