KYOSUKE


マサさんは意外に鋭いな―――


いや……あんな風にお嬢の過去を知りたがり、あんな風に心配すれば誰でも見抜くか……


だけどマサさんはお嬢に近づくな、とあからさまな牽制はしなかった。


少なくともそうゆう態度じゃなかった。


俺にお嬢をどうこうする勇気と度胸なんてないと踏んでるのか―――それとも信頼されてるのか?


どっちにしろ、


俺はお嬢に手を出すつもりはない。




―――……と思う。(即答できない)


だけど





戒さん―――




お嬢をどうかこれ以上傷つけないでください。


そして傷ついた彼女の過去を




どうかあなたの手で癒してください。





俺にはその術も、彼女に差し出す手も―――持ちえていないから。








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