KYOSUKE
それから二時間ほど経ってからタクさんをはじめとする組の人たちがぞろぞろ起き出して来た。
「よーっす。おめぇ早いな」
寝巻きがわりのTシャツに手を突っ込んで腹を掻きながら、タクさんが大きな欠伸をして台所に入ってきた。イチさんも一緒だ。
タクさんは眠そうに目を擦りながらも、テーブルの上に置いてあるチョコの箱を見つけると、ぱっと顔を輝かせた。
「お!うまそうなのがある♪」
と、言いながら箱を開ける。そしてその中の一つを手につまんで口に放り入れた。
寝起きにチョコ!?どーゆう胃袋してるの!と問いたかったけれど、俺のぎょっとした視線の中、イチさんまでも
「ホントだ。うまそうだぜ」と言いながら、一つを口に入れる。
見ているだけで気持ち悪くなりそうな俺が顔を逸らそうとすると、
「これ、どーしたんだよ」とタクさんが聞いてきた。
「それはお嬢がお友達から貰ったみたいで…」
俺の答えにタクさんとイチさんはびっくりしたように顔を合わせた。
な、何……?
「これはお嬢が持ってきたんか!?まさかお嬢は食ったんじゃないだろうな!!」
「はあ……食ってましたけど。それが何か?」
俺の答えにタクさんとイチさんは同じように顔を青くした。
「これ!ブランデー入ってるんだぜ!?」
「はあ、それが何か……」まぁ確かに…微量だったけど入ってたな…
俺がきょとんとして二人を見上げると、二人とも鬼のような形相で、
「「お嬢はアルコールが一滴もダメなんだ!!」」
と二人して、俺を見下ろしてきた。