KYOSUKE
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それから数日。
夏休みも終わろうとしていた、夜だった。
お嬢はこの日も友達と遊びに行くと出かけていった。
夜も8時。
とっぷりと暗くなった頃から、お嬢が居ないことをいいことに、組の人たちは派手に宴会をはじめた。
人使いの荒い組の人たちに、
「おいっ、キョウスケ!氷ねぇぞ」
「キョウスケ。こっちもビール」
「キョウスケ、するめどこいった?」
とさんざん引っ張りまわされて、タクさんに
「キョウスケ、ウーロンハイ持ってこい」と言われ、台所で用意してるところにお嬢が現われた。
白いコットンの短いスカートに淡いレモンイエローのカットソー。外出着姿だったから、帰ってきたばかりなのだろう。
「あれ?お嬢、早いですね」
「そっか~?別に普通だし」お嬢は台所の洗い場で手を洗うと、律儀にうがいをした。
こうゆう特殊な環境で育った割りに、お嬢はちょっと古風な……いや、しっかりした考えの持ち主だ。
9時を過ぎて帰ってくることは滅多にないし、もちろん無断外泊もない。
9時を過ぎるときは必ず連絡をくれる。
『だってあんまり遅いと組の奴らが心配するし』
なんて以前、言ってたっけ。
同じ歳の鞠菜なんて門限破りはしょっちゅうで、よく母親と喧嘩してたな……
そんなことをふと思い出す。