KYOSUKE
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「鞠菜!今何時やと思うてるんや!?」
夜11時を回っても帰宅しなかったとき、母親はまるで鬼の形相のように顔を怒らせて怒鳴り声をあげていた。
「煩いなぁ。ええやん、少しぐらい。友達とちょっと盛り上がって時間忘れてしもたんや」
と鞠菜は全然反省してない様子で、母親をちょっと睨み上げている。
「ちょっとぐらいやあらへん!今何時やと聞いてるんや!門限は10時やで!!」
その場に居合わせた俺は火の粉がこっちに飛んでこないうちに、そそくさと逃げる準備に入った。
そのとき
「お兄ちゃんかて、しょっちゅう無断外泊しとるやん!」逃げ出そうとしている俺に、鞠菜が『逃がさへんで』という視線で俺を睨んでくる。
きた!!
俺は無表情に母親を見ると、母親はため息をついて腰に手を当てた。
「お兄ちゃんは男の子やさかい大丈夫やけど、あんたは女の子やないの。しかもまだ中学生や。犯罪に巻き込まれたどないするん」
「あたしは絶対に大丈夫やもん!」
鞠菜はベッと舌を出して、怒りながらも部屋に逃げ込んでいった。
何が絶対に大丈夫なのか聞きたかったけれど…きっと根拠のない安全宣言に違いない。
あとに残された俺と母さん二人…
「まったく……何度言うたら分かるンやろ」
と頭を抱え、うな垂れる姿に同情しつつも……俺は後ろ足で今度こそ、その場から立ち去ろうした。
「ちょぉ待ちぃ」
と母親の尖った声が聞こえてきて、俺はその場で固まった。