KYOSUKE
戒さんは俺の母さんのことをいつも「優しくて可愛らしい理想のママ」と絶賛するけど、怒ったらきっと鈴音姐さんより怖いんだよ。
「響輔、あんた。今まで黙っとったけど、あんたも最近よぉ外泊しよるね」
「は…まぁ」
「よそ様の娘さんを、朝まで引っ張りまわすってどない神経しとるの!」
女の子と出かけてることは言ってないけれど、何となく気付かれてたみたいだ。
断言してくるあたり、言い訳は一切通用しない。
この当時俺には二歳上の大学生の彼女がいた。
彼女は梅田で独り暮らしをしてたから、よく泊りに行っていたわけだけど…
「あんた!大丈夫やろな!?万が一間違いがあったら…」と母さんが顔を青くしたので、
俺は慌てて
「あ、それは大丈夫デス。ちゃんとしとるし」なんてバカ正直に答えてしまった。
母親は青くなったと思いきや、沸騰しそうなぐらい顔を赤くして、
「大丈夫って!!あんたやっぱりーーー!!!!」
その晩は普段穏やかな母親の雷が落ちたのは言うまでもない。
俺は一晩正座させられ、ガミガミと説教をくらったわけだ。
後日
「お兄ちゃんって頭ええけど、要領悪いよね♪」
とまんまと説教を逃れた鞠菜が、いししと笑っていた。
この―――!!アクマリナっっ!(悪魔鞠菜の略)
――――
――
そんな悪魔みたいな妹に振り回されっぱなしだったから、お嬢もそんな感じで我侭で奔放に育っていたかと思いきや……
こんなところすごくしっかりしてる。
そんなところも好きなんだ。