KYOSUKE
しーん……
中から返事がない。返事どころか物音一つしない。
寝てるのかな…?
「お嬢」
もう一度ノックすると、
バタン!ドタンっ!!
派手な音が部屋の中から聞こえて、俺の顔から血の気が失せるのが分かった。
「お嬢!失礼します!!」
わき目も振らずドアノブを回すと、鍵がかかっていなかったのか、ドアはあっけなく向こう側に開いた。
ゆっくり部屋を見渡す余裕なんてまるでなかった。
6畳ほどの部屋の中央で―――
お嬢が俯けに倒れこんでいたから。
「お嬢っ!!」
俺は彼女の元に駆け寄ると、そっと彼女を抱き起こした。
きっちりと両目を閉じたお嬢は俺の腕の中で「う~ん……」と小さく唸り、ふわふわと口元に笑みを浮かべていた。
すぐ目の前にピンクの革張りの二人掛け用ソファがある。その足元には花柄模様のクッションが転がっていた。
どうやらこのソファから落ちたようだ。
そのすぐ傍に折りたたみ式の白いガラステーブルが置いてある。
倒れた拍子にどこか打ってないか、俺は彼女の頭に手を這わせたが、腫れているところはなさそうだった。
ほっと安堵して
俺はようやくそこで、はじめて入るお嬢の部屋をゆっくりと見渡した。