KYOSUKE
俺はお嬢をベッドに横たえると、その体の上にそっと羽毛布団を掛けた。
お嬢が指先をちょっと出して、何かを欲しがるように動かす。
なんだろう……
キョロキョロ見渡して、近くにあるうさぎのぬいぐるみを近づけてみると、お嬢は納得したようにぎゅっとぬいぐるみを抱きしめ、幸せそうにちょっと口元に笑みを浮かべた。
「はぁー」
盛大にため息を吐き、俺はベッドの下に力なく座り込んだ。
そして改めて口元を押さえると、今になってようやく事実を飲み込むことができた。
お嬢とキス―――
してしまった。
ドキドキと煩い心臓を、「はじめてでもあるまいし」、「第一お嬢は酔ってるんだ」と必死に言い聞かせ、
それでも心臓の音は収まるどころか、俺の中で暴れ狂っている。
それでもバカみたいにドキドキしてるのは俺だけで……
何も知らないお嬢はすやすやと心地よさそうに寝息を立てている。
人形のように大人しく眠るお嬢の可愛い寝顔を見つめて―――
俺はちょっとだけ頬を緩めた。
幸せそうな顔をして、一体どんな夢を見てるんだろう眺めていたとき、
「キョウスケ…」
お嬢の口が僅かに開いて、俺を呼んだ。