KYOSUKE

居間に引っ張られていくと、すでにみんな集まっていた。


ちゃぶだいの上には鯛をはじめとする、たくさんのごちそうが並んでいる。


組員の人たちはにこにこ笑顔で、どことなく落ち着きがない。


「何のパーティーですか?」


聞くと、お嬢もにこにこ。


「蠍座パーティーだ!おめぇ今月の11日誕生日だろ?サスケとタイチも蠍座だから合同だけど、誕生日会だ♪」


誕生日……会…


「あの、俺って誕生日言いましたっけ?」


「最初に会ったとき聞いたはずだぜ?お前言ったこと覚えてねぇの?」


全く覚えてない……


つまりはそれぐらいどうでも良かった会話で、でもそのどーでもいい会話を覚えていてくれたってわけだ。


誕生日会って…幼稚園以来だな。


去年までは戒さんと二人でごはんを食べに行ったぐらいで、誰かに祝ってもらうことってあんまりなかった。


「ほら!ぼーっとしてねぇで、座れよ」


お嬢に促され、俺はサスケさんとタイチさんの隣に腰を降ろした。


俺たちの前には大きなホールのケーキが置かれている。


ろうそくいっぱい立っていた。


サスケさんもタイチさんも恥ずかしそうだが、どことなく嬉しそうでもある。


俺が座るのを見届けると、部屋が暗くなり、ろうそくに灯りがともった。




~♪ハッピーバースデートゥーユ~




組員の人たちの野太いハッピーバースデーが合唱され、盛大な拍手が聞こえて、


「「「誕生日おめでとぅ!!♪」」」


全員が声をそろえ、にこにこ笑顔で俺たちの方を見ていた。


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