KYOSUKE
その三日後―――
その前日はレポートの提出日で、徹夜をして仕上げていたので疲れきって眠っていたとき…
TRRRR
俺は無機質な電話の着信音で無情にも起こされた。
「なんや…」
不機嫌そうにケータイを見て、そのディスプレイに“非通知”の文字を見たとき、一瞬戒さんかと思った。
慌てて飛び起きて電話に出ると、
『―――響輔?久しぶりやね。元気にしてる?』
と意外な人物の声が聞こえて、違った意味で俺はびっくりした。
たっぷり数秒の沈黙のあと、
「――――母さん。どないしたん?」
と、俺は何とか答えた。
『どないしたも何もないやん。元気してるかって聞いてるんや』
久しぶりに聞く母親の声は、言葉はきついけどその声には優しいものがにじみ出ていた。
俺が龍崎組に行くって決めたときに聞いた、あの悲痛な声は微塵も感じられない。
「……元気やけど」
『そう?それならいいけど』
母親はぎこちなく言うと、黙り込んだ。