KYOSUKE
変わらず明るい声だったけど、どことなく無理をしているようにも感じれた。
沈黙が重い。
「……まだ、怒ってるん?」
おずおずと聞くと、
『怒ってへんわ。あんたは一度言い出したら聞かない性格やさかい、何言うても無駄やて思うてるし。ほんまお父さんそっくりやわ』
……すんまへん。
言葉にならなかったけれど、心の中で俺は小さく詫びた。
それでも母親に心配かけないよう、俺はことさら明るい口調で言った。
「組の人たちはみんな優しいし、よぉしてもろてる。安心しぃ」
『…みたいやね。戒くんから色々聞いてるわ』
「戒さんから……?」
意外だった。戒さんが母さんに連絡を入れてるってことが。
『あんたがちっとも連絡寄越さへんから、戒くんが気ぃ利かせてあれこれ教えてくれてるんや。あんた時々戒くんに手紙おくってるみたいやね』
手紙……たまに送るけど…
そんなこと戒さんは一言も…
『戒くん、自分では言わへんけど、責任感じとるみたいよ。自分が龍崎の養子になる言い出したからあんたを巻き込んだんだって』
「そんなこと……」
そんなこと戒さんが負い目に感じることなんてないのに。
俺が勝手に決めたことだし。
『ほんまあんたはいい幼馴染を持ったわね』
うん
俺は正直に一言呟いた。