KYOSUKE
“鷹雄くん。お元気ですか?
あたしは新しい土地にようやく慣れてきた頃です。
お母さんと二人、元気に過ごしています。
近くのパン屋さんでバイトを始めて、地元の医学部に行くお金を貯めるつもりです。
医者になるつもりはないっていったけれど、やっぱり早々諦められないね。
ところで鷹雄くん、好きな人とはどうなったのかな??
あたしはパン屋の先輩で気になる人ができました。少し鷹雄くんに似てる……かな?
鷹雄くんの方が数倍かっこいいけどね。
今度はヤクザじゃないといいんだけど(笑)
そんなわけであたしも楽しく過ごしています。鷹雄くんもお元気で”
長いメールを見て、俺は微笑んだ。
河野さんも―――自分の道を見つめてまっすぐに突き進んでいる。
俺も―――
がんばるよ
短い文だったけれど一言返して、少し
彼女のことを思い出した。
3月―――
庭の―――お嬢が秘密を埋めた桜が鮮やかに咲き誇るある日、俺は清々しい気持ちで空港までシャドウファントムを飛ばした。