KYOSUKE
俺の平穏は午後はこれでなくなった。
「それにしても、よう俺んち分かりましたね」
「あんなぁ、お前にエアメール何度か送ったやろ。だから住所は知っとるつうの。それなのにお前と来たら、返してきたのは最初の一通だけで、そのあとは無視。酷くない?」
そう…やった。
忙しさに紛れて、すっかり返事をおざなりにしていたのだ。
俺が女の子に振られる理由もここにあると思う。
ようはマメじゃないのだ。
「へぇ。いい部屋やん」
戒さんはさほど大きくないスポーツバッグを床に置くと、鼻歌を歌いながらぐるりと辺りを見渡す。
急に部屋が小さく感じれた。
いつも一人だったし。
誰かをこの部屋に呼んだこともない。
戒さんが始めてだ。
戒さんが……
「あれ?」
戒さんの目線が、いつもとちょっと違って違和感を感じた。
「もしかして、戒さん。背伸びた?」
戒さんは腕を組むとふふんと勝ち誇ったように笑った。
「おぅよ。この二ヶ月で4㎝も伸びたわ。そのうちお前を追い越すで」
ケケケと笑いながら、戒さんが俺の頭に手を乗せる。
そう言えば、顔つきもどことなく男っぽいものに変わりつつあるような…
まぁ女顔ってことは変わりないケド。
俺の知らないところで、戒さんが変わっていったことに俺は複雑な気持ちを抱いていた。