KYOSUKE
「実家は大阪?」
「今はね。昔は京都やった。父親の仕事の関係で大阪に引っ越してん」
「へぇ」
河野さんは妙に関心したように大きく頷いた。
「そう言えばあたし鷹雄くんのことあんまり知らなかったな。鷹雄くん、あんまり喋らないし、結構謎だよね」
「……そうかな?」
マグカップに湯を注ぎ入れながらも、俺はやっぱり表情というものを浮かべていなかったと思う。
だけど河野さんは何を勘違いしたのか、
「結構ね、鷹雄くん人気なんだよ。クールだし、寡黙だし。狙ってる子多いんだよ」
と慌てて喋る。
「知らなんだな」
湯を注ぎ終わったマグカップをテーブルに置いて、俺は河野さんの向かい側に腰を降ろした。
河野さんはちょっと顎を引いて、俺を上目遣いに見た。
「ちょっと影があるところがカッコいいとかでさ…でも、鷹雄くん時々目つきが……」
河野さんは言葉を濁した。
「目つき?」
「…うん。時々だけど、睨んでるわけじゃないと思うけど、すっごく険しい視線のときあるの。何にも寄せ付けない冷たい視線だけど、その中に光だけは宿っていて、不思議な視線。
怖いと思う反面、その視線に囚われてるようで。逆に目が離せない。
鷹雄くんてホントはどんな人?」