KYOSUKE
俺の肩に腕を回したまま、首だけを捻る。
「あんたら鏡見てみぃ。今、ひっどい顔しとるで?そんなんでよぅナンパなんてしよるな」
俺の肩に回した腕からぴりぴりと彼の苛立ちが伝わってきた。
「何ですって!?」
「そんな女と遊ぶより、俺にとってはこいつの方が大切なんや。そゆうわけで、ほな♪」
と言ってひらひらと彼女たちに手を振った。
ナンパ女たちは、いきりたって帰っていった。
しばらくの間、俺たちは無言でアパートまでの道を辿った。
今更彼との無言は苦痛じゃない。お互い何を考えてるのか探る必要もない。
途中戒さんが、
「アイス食いたいなぁ」なんて言い出して、コンビニに入っていった。
戒さんはコンビニで棒付きのアイスを二つ買って出てきた。
「うまっ♪こっちのアイスは甘さ控えめでやっぱ美味いなぁ♪」
ソーダ味のアイスを舐めながら、戒さんはご機嫌な様子。
「甘さ控えめて、俺には充分過ぎるほどの甘さですけど」
俺は戒さんの買ってくれたスイカ味のアイスを口に含んだ。
戒さんは大真面目な顔でそんな俺を覗き込んだ。
「あっちのアイスは砂糖の塊や!あんなん食い続けてるアメリカ人はみんな糖尿病になって早死にするで」
あまりに真剣なその表情に、俺の気がふっと緩んだ。