KYOSUKE
「惜しいことしたな」
戒さんは唸るように口を開いた。
「は?」
「そんなん暗くしたら分かれへんやないか。一発ヤってから、バラしゃ良かったやないか。あの子、結構可愛かったで」
「…………」
もはや何も返す気になれない。
「おやすみなさい」
俺は布団を顔まで引き上げ、戒さんに背を向けた。
何だか苛々していたのがバカらしい。
昔からそうだ。
俺の悩みなんて戒さんからしたらちっぽけなもので、気にする方が時間の無駄だ。
戒さんに話して、俺の中の蟠りがきれいに消えた。すっきりして、今夜はよく眠れそうだ。
だから戒さんにはもう用がない。(←再びヒドイ)
「だから苛々してたのか~♪お前も結構可愛いとこあるな♪」
「…………」
「おい。聞いてンのか?」
戒さんは突然俺の後ろからギュッと抱きついてきた。
「まだ何か?」
鬱陶しそうに顔を捻ると、戒さんは突然俺の首に顔を埋めてきた。
戒さんの熱い吐息を間近で感じる。
「俺は好きやで。お前のこと。
たとえお前が極道やないにしろ、俺の生涯の親友や。
俺は離れていかんからな」