KYOSUKE
―――……
というわけで回想終了。
ってか回想長っ!
そんなことを考えながら風呂に浸かっていたせいかな、あがる頃にはすっかりのぼせていた。
お陰で芯まで冷え切っていた体は温まったが。
脱衣所に出ると、きちんとアイロンが行き届いた白い長袖のシャツと、ジーンズが畳んであった。
俺の着てきた服がないところから、これを着てもいいのだろう。
シャツに腕を通すとふわりと柔軟剤のいい香りが香ってきた。
ジーンズを履いて(てか丈ちょっと短かい)、おずおずと風呂場から出ると、
「おぅ!あったまったか?」
風呂場のすぐ脇で龍崎 朔羅が腕を組んで立っていた。
見た目は天使ように愛くるしいのに、その仕草や立ち居振る舞いに年代を思わせる極道の迫力があった。
「ええ、ありがとうございました」
「んじゃ、ちょっと茶でも飲んでいきな」
有無を言わさずまた引っ張っていかれる。
鞠菜と同じ歳だというのに、逆らえない雰囲気と迫力。おまけに力も強い。
俺は大人しく従った。
出されたのはお茶ではなく、味噌汁だった。
「あの…これ…」
「わりぃ。今お茶っぱ切らしてて、これしかねぇんだ。まぁ飲んでよ」
彼女はまた恥ずかしそうに笑った。
笑うと―――(いや、笑わなくてもだけど)普通の女子高生だ。
こぼれるような屈託のない笑顔が、戒さんと重なって、
すごく可愛い。
その警戒心のない笑顔に、俺はほっとし味噌汁の碗に口をつけた。