KYOSUKE
味噌汁は合わせだしで、具は大根と豆腐だった。
家庭の……懐かしい味がして、ほっと気が緩む。
思えば随分まともな食事をしてなかった。
アパートにはキッチンがついてるけど、料理は苦手だし。外食かカップラーメンの生活をしていたから、なんだか酷く安心する。
彼女は俺の隣で頬杖をついて、俺が味噌汁を飲むのをじっと見ていた。
猫のような大きな目が、興味深そうに俺の横顔をじっと捉えている。
何を考えているのか探りたいけど、何から切り出せばいいのか分からなかった。
俺は喋るのが苦手だから。
すると彼女は、何かを納得したように手をぽんと打った。
「分かったぞ!おめぇ!!家出人だな!!」
彼女の出した答えが的を外していたので、思わず
「は?」と聞き返してしまった。
慌てて口を噤んだけど、彼女は気にしてない様子で勝手に話を進める。
「そうだろ。間違いない!」
まぁ半分は当たってるけど。
家出同然でここに来てしまったわけだから。
「お前、いかにも弱そうだからな。なんか変な影背負ってるし」
彼女は俺の返事を聞かずに、どんどん想像を膨らませている。
弱そう…?変な影背負ってる??
聞けば随分失礼なことを言われてるのに、俺は何も反論しなかった。
って言うか、その勢いにできなかった。