KYOSUKE


「キョウスケ…か。お前、あとで来い。話がある。朔羅、百合香の部屋が空いてるよな?」


お嬢は不審そうに龍崎会長を見上げると、


「いいけど、キョウスケに何の話?」とちょっと睨みあげた。


「大人の話だ。首をつっこむんじゃねぇ」


言葉尻はきついけど、表情は柔らかかった。


「キョウスケ……」


お嬢は俺の心配をするように不安そうに、俺の袖を掴むと俺を見上げてきた。


不意打ちに触れられ、俺の心臓がまたも変な音をたてた。


一体―――なんだってんだ。


「大丈夫ですよ。きっと家のこととか聞きたいんでしょう」


俺はお嬢にほんのちょっと笑顔を向けた。お嬢を安心させるように。


お嬢はそれでも不安そうに俺の袖をぎゅっと握っていた。


お嬢は―――優しいな。


こんな得体の知れない俺のことを、心から心配してくれてるようだ。


それが嬉しくて、それでも絶対にこの気持ちを彼女に伝えられないことがもどかしくもあり、俺は複雑な気持ちに陥った。





―――……


連れて来られたのは、一階の廊下に面する小さな和室だった。


ちゃぶ台が一つ部屋の中央に置かれただけのそっけない部屋だ。


俺たちはそのちゃぶ台を挟んで、向かい合った。







「さて―――


何から話そうか。鷹雄」






龍崎会長はいきなり俺に直球を投げかけてきた。






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