KYOSUKE
「どうして分かったんですか?俺が鷹雄の息子だって」
龍崎会長は、ちょっとニヒルに笑うと
「虎間の姐さんから連絡があった。響輔をくれぐれも宜しくって、な」
鈴音姐さん……
「………そういうこと…」
「安心しな。俺が居る限り寝首かかれることはねぇよ」
ぞんざいに言うと、龍崎会長はおもむろに俺のあごに手を掛けた。
思いのほか冷たい体温に、ぞくりと背中に何かが走る。
龍崎会長は俺を左右に向かせたり、上下に動かしたりしてまじまじと俺を覗き込んできた。
「……あの…?」
「いい面構えしてやがるな」
ふっと余裕の表情で笑うと、彼はスーツの上着からタバコのケースを取り出した。
「おめぇタバコは?」
「はぁ。吸いませんが」堂々と未成年に聞くなよ。
「酒は?」
「少しなら」
「じゃ、女は?」
「今は……いません…」
なんだか的を射ない変な質問ばかり。何が聞きたいんだろう、この人。
いぶかしげに眉を寄せると、龍崎会長は前触れもなしに「はははっ!」と豪快に笑い出した。
何なの、この人……
「俺がお前ぐらいのときは随分派手にやったぞ?酒にタバコ、博打に女」
「あなたと一緒にしないでください」
俺が返すと、龍崎会長はまたも声をあげて笑った。