KYOSUKE
―――………
頭が重い。
まるで枕に吸い寄せられるように、上がらない。
体のあちこちも力が入らず、身動きがとれなかった。
閉じた瞼も熱いし、おまけに開けることが酷くおっくうだった。
それなのに五感だけは妙に冴えていて、特に口の中をいっぱいに支配するのは
酒の味だ。
カタン…
小さな音がした。
誰かがこの部屋に入ってきたようだ。
遠慮がちに足音を忍ばせて、俺のすぐ傍まで歩いてくる。
フワリ…
香ってきたのは
桜の香りだった―――
桜……チェリーブロッサム
朔羅―――