KYOSUKE


――――……


腰や背中のじんわりくる痛みで俺は目覚めた。


すぐ近くにお嬢の顔があって、俺は飛び上がりそうになった。


「起きた?昨日はだいぶ飲んだみてぇだけど、大丈夫か??」


心配そうに俺を覗き込んでいる。


「…え、ええ」


いつの間にか酔って眠ってしまったようだ。


俺の体の上にブランケットが被せられている。


「叔父貴はさ、新入りが入って自分が気に入ると、必ずああやって酒を飲ませるんだよね。自分が飽きるまで。付き合わされた方はたまったもんじゃないよね」


お嬢がふわふわと笑う。


呆れているようで、その中に「しょうがないなぁ」なんて温かく見守る感情が見え隠れしていた。


ズキン…


急に胸が痛んで、俺は起き上がりかけた体を畳の上に横たえた。


酔いが心臓まできた?


そんなわけないか……


またあのわけの分からない心臓の痛みだ。


「あの…会長は……?」


「叔父貴ならとっくの昔に帰ったよ。忙しい人だからさ」


お嬢が寂しそうに笑った。


伏せた長い睫が細かく震えている。


泣きそうになっているお嬢を励ましたくて、いつでもあの屈託ない太陽のような笑顔で笑っていてほしくて、俺は彼女の頬に手をやった。


胸の痛みは―――極限にまできていた。






俺はバカだ。





お嬢の気持ちに気付いて―――





そしてこんなとき初めて自分の気持ちに気付いた。




これは心臓の病なんかじゃなってことに―――





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