KYOSUKE
俺はゆっくりと振り返った。
10台ほどの改造したバイクとそれに跨った男たちが俺を取り囲んでいる。
地元の暴走族だろうか。みんなノーヘルで髪を派手に染めていた。
中には後ろの席に女を乗せている男も居る。
「いいマシーン乗ってるじゃねぇか」
一人の…リーダーと思われる男が俺のバイクを嘗め回すように眺めている。
「戒さん、すんまへん。客や」タバコを口に挟んだまま、俺はやれやれと言うように肩を竦めた。
『招かれざる客やろ?響輔、機嫌が悪いのは分かるけど、ほどほどにしとけよ』
俺はちょっと苦笑した。
「やっぱあなたにだけは俺の機嫌の良し悪しが分かるんですね」
タバコを口から抜き取る。
「さっきから何余裕ぶっこいてんだ!ぶっ殺されてぇのか!!」
リーダー格の男が怒鳴り声を上げた。
俺はゆっくりと着ていた革ジャンに手をかけ、するりと腕から抜き取るとバイクの上に置いた。
「やだ♪良く見たら結構いい男じゃん」
女の一人が黄色い声をあげた。
「はぁ!何だよ!!」
と、痴話喧嘩を始める始末。
「どっちでもいいから、早く来ぃや。
俺ぁ気が立ってンや」