KYOSUKE
俺が連れて来られたのは、いつも食事をする茶の間だった。
ちゃぶ台を挟んで俺は正座させられている。
「どういうことでぃ!今何時だと思ってやがんだ!!」
バンっ!とちゃぶ台を叩きながら、お嬢は開口一番に怒鳴り声をあげた。
「何時って…三時過ぎ…ですか?」
柱にくくりつけてある古い掛け時計に視線を向けて俺は言った。
「そんなこと聞いてるわけじゃねぇ!遅くなるならなんっで連絡一つ寄越さねぇんだ!!」
お嬢の気迫に、俺はビビると言うよりも……驚いた。
「え…?怒ってることって、もしかしてそのことですか?」
「他に何があるって言うんでぃ」とお嬢は不機嫌そうに答えて、はっとなった。
「まさか!お前!!もしかしてっ」
もしかして??
俺はごくりと喉を鳴らした。
もしかしてバレた―――?
「おめぇか!!あたしのお気に入りのアヒルちゃんを洗濯機で回して縮めたのは!!?」
お嬢が俺の胸座を掴みそうな勢いで、身を乗り出してきた。
あ、アヒルちゃん―――……?
「いえ。それは知らないです」
何だか拍子抜けして、俺の声はみっともないぐらい裏返った。