KYOSUKE
「じゃぁ誰だよ?タクか?」
お嬢は顎に手を当てちょっと考えるように目を細めている。
「ってそんなこと今はどーでもいい!と、に、か、く!!門限破りたぁいい度胸じゃねぇか」
お嬢は再び俺を睨んで、声を低めた。
門限破り?ってか門限って何時?
「夜9時を過ぎるときは連絡の一つ寄越しな。まぁおめぇだって付き合いとかあるだろうけどよ、こっちは心配してたんだからな」
腕を組んでブスリと答えるお嬢。
心配?
お嬢が俺を―――?
「また出ていっちまったのかと思った。まぁお前に限って黙って出て行くとかないだろうけどよ」
お嬢は目に浮かべたちょっと険しいものを和らげると、少しだけ寂しそうに笑った。
俺がお嬢に黙って出て行くことなんてないです。
俺はいつだってお嬢の傍に居たいから。
喉まで出掛かった言葉を何とか飲み込む。
気持ちを自覚したら
急速に膨れ上がった気持ちが、今にも暴れだしそうに
俺の中を彷徨っている。
俺はその気持ちを
いつまで隠し通せるだろうか。