KYOSUKE


何が起こった―――??


俺の腕の中に今お嬢が居て、お嬢は必死な形相で俺にしがみついている。


お嬢のあの甘くて爽やかな香りを体いっぱいに感じる。


初めて触れるお嬢の体は





想像以上に柔らかかった。





「や、やっつけて!!」


涙目になりながら、お嬢は俺にしがみついてくる。


お嬢の足元を這っていた“ゴキブリ”は、お嬢の悲鳴に驚いたのか、お嬢がちゃぶ台を乗り越えてくる間にどこかへ消えたらしい。


「もういなくなりましたよ」


「ほ、ホントに!?」


それでも疑わしいのか、お嬢は俺に抱きつきながら涙目になって俺を見上げてきた。


俺の心臓の音か、それともお嬢のか。


あるいは二人の心音が同調しているのか。


静かな部屋に心臓の音が反響した―――ように思えた。




お嬢の体温。


お嬢の香り。


お嬢の……感触。




それは俺の腕の中で、確かなものとして存在する。


大きな目に涙がたまっていて、長い睫に涙の雫がくっついている。





ヤバイ




理性が―――






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