はぐれ雲。
「車に乗せぇ」
桜井の言葉に我に返った達也が、林の腕をつかんだ。
その時一瞬目が合ったが、無言で警察車両に彼を連行する。
後部座席に座らせると、達也自身も林の隣に座る。反対側のドアからは桜井も乗り込んできた。
間に挟まれた林は、フンと鼻で笑うと、若い刑事の横顔を見た。
「桜井の部下か。名前は?」
まっすぐに前を向き、達也は厳しい顔つきのまま何も言わなかった。
「なんだよ、愛想のないやつだぜ」
「ええ、当然ですよ。自分は新明亮二の同志であり、ライバルなんですから…」
「あいつの名前を出すなと言っただろ!」
剥き出しの憎悪がまた姿を現す。
手錠がかかった手で激しく膝を打つたびに、カシャンカシャンと冷たい音がする。
「…静かにしてください」
前方をみたまま、達也は落ち着いた口調で言った。
桜井も、腕組みをしたまま無言で目を閉じている。
「亮二のクソ野郎が!死んで当然…」
その時だった。
「黙ってろ!!」
林の言葉を打ち消すような鼓膜が破れんばかりの大声を、達也は上げた。
甘いマスクからは想像もできないあまりの剣幕に、林は舌打ちをしてその口を閉じる。
そして車内はサイレンの音しか聞こえなくなった。
桜井の言葉に我に返った達也が、林の腕をつかんだ。
その時一瞬目が合ったが、無言で警察車両に彼を連行する。
後部座席に座らせると、達也自身も林の隣に座る。反対側のドアからは桜井も乗り込んできた。
間に挟まれた林は、フンと鼻で笑うと、若い刑事の横顔を見た。
「桜井の部下か。名前は?」
まっすぐに前を向き、達也は厳しい顔つきのまま何も言わなかった。
「なんだよ、愛想のないやつだぜ」
「ええ、当然ですよ。自分は新明亮二の同志であり、ライバルなんですから…」
「あいつの名前を出すなと言っただろ!」
剥き出しの憎悪がまた姿を現す。
手錠がかかった手で激しく膝を打つたびに、カシャンカシャンと冷たい音がする。
「…静かにしてください」
前方をみたまま、達也は落ち着いた口調で言った。
桜井も、腕組みをしたまま無言で目を閉じている。
「亮二のクソ野郎が!死んで当然…」
その時だった。
「黙ってろ!!」
林の言葉を打ち消すような鼓膜が破れんばかりの大声を、達也は上げた。
甘いマスクからは想像もできないあまりの剣幕に、林は舌打ちをしてその口を閉じる。
そして車内はサイレンの音しか聞こえなくなった。