はぐれ雲。
「見かけによらず、君は傲慢なんだね。新明の時もそうだった。全部自分が悪いと思ってる。今回の青木のこともだ、自分がみんなの人生を変えてしまったと思ってる。
でも、それは違うよ。
そんなに君はすごい力を持ってる?
他人の人生を狂わせてしまうほどの?
残念ながら、それはないよ。
世の中全てが、博子中心に動いているわけじゃない。そうだろ?彼らは君に出会おうが、そうでなかろうが、きっとどこかで命を落とす運命だったんだよ。ただ君は、その場面に出くわしただけだ」
「……」
「全てが自分のせいだなんて思うのは、傲慢だよ。自分を責める必要はないんだ、博子。
だけど、彼らのことを忘れてはいけないと俺は思う。ずっと、大切に思ってあげるんだ」
「……」
博子はしばらくじっと彼の胸に顔をうずめていた。
「わかったかい?」
「…ええ」
「わかったなら、俺にネクタイを絞めさせてくれないかな」
「あ、ごめんなさい」
博子は慌てて達也から離れた。
「遅れたらアキラたちに怒られるからね」
彼は優しく微笑むと博子を見た。
相変わらず、目が赤い。
「博子、俺が今まで間違ったことを言ったことがあるかい?ないだろ?だから…」
「あなたも、意外と傲慢」
「え?」
「間違ったこと言ったことないなんて…傲慢」
「あ、そっか」
達也は笑いながら、こめかみをかいた。
二人は今にも泣き出しそうな空の下、寄り添って青木真梨子の実家へと向かった。
在りし日の彼女を偲ぶために。
でも、それは違うよ。
そんなに君はすごい力を持ってる?
他人の人生を狂わせてしまうほどの?
残念ながら、それはないよ。
世の中全てが、博子中心に動いているわけじゃない。そうだろ?彼らは君に出会おうが、そうでなかろうが、きっとどこかで命を落とす運命だったんだよ。ただ君は、その場面に出くわしただけだ」
「……」
「全てが自分のせいだなんて思うのは、傲慢だよ。自分を責める必要はないんだ、博子。
だけど、彼らのことを忘れてはいけないと俺は思う。ずっと、大切に思ってあげるんだ」
「……」
博子はしばらくじっと彼の胸に顔をうずめていた。
「わかったかい?」
「…ええ」
「わかったなら、俺にネクタイを絞めさせてくれないかな」
「あ、ごめんなさい」
博子は慌てて達也から離れた。
「遅れたらアキラたちに怒られるからね」
彼は優しく微笑むと博子を見た。
相変わらず、目が赤い。
「博子、俺が今まで間違ったことを言ったことがあるかい?ないだろ?だから…」
「あなたも、意外と傲慢」
「え?」
「間違ったこと言ったことないなんて…傲慢」
「あ、そっか」
達也は笑いながら、こめかみをかいた。
二人は今にも泣き出しそうな空の下、寄り添って青木真梨子の実家へと向かった。
在りし日の彼女を偲ぶために。