はぐれ雲。
「博子、俺は…えっと、ホームセンターに行ってくるから。ガムテープとか荷造り紐とか…とりあえずいろいろと買ってくるよ」
「達也さん…」
ありがとう、心の中でそう言った。
「ごゆっくり」
達也は浩介に軽く会釈すると、部屋を出て行った。
浩介も丁寧に頭を下げる。
彼と二人きりになって初めて、博子は浩介に話し掛けた。
「あ、座って。散らかっててごめんなさい。浩介くん、雰囲気が変わってるから、一瞬誰だかわからなかったわ」
博子は新しくカップを取り出すと、先ほど淹れたばかりのコーヒーを注ごうとして、手を止めた。
「そういえば、コーヒー苦手だったわよね。オレンジジュースでいい?」
ふと、亮二が甘めのミルクコーヒーが好きだったことを思い出す。
「え?あ、はい。すみません、じゃあオレンジジュースで…。あの、忙しかったんじゃ?」
珍しく浩介は大人しい。
ちょこんとリビングのテーブルの前に正座して、首だけをこちらに向けている。
「ううん、大丈夫。休憩中だったの」
博子はガラスコップに入れたジュースを彼の前に置くと、向かいに腰を下ろした。
「ごめんなさい、気の利いたもの出せなくて…」
申し訳なさそうに彼女がいうと、彼は大げさに「とんでもないっすよ」と手を顔の前で振った。
その表情があどけなくて、かわいい。
彼は前からそうだった。
思ったことをすぐに口にするけど、その言葉はやけに心の奥底にまで響いてくる。
素直なだけに、何の曇りもない言葉が出てくるに違いない。
「達也さん…」
ありがとう、心の中でそう言った。
「ごゆっくり」
達也は浩介に軽く会釈すると、部屋を出て行った。
浩介も丁寧に頭を下げる。
彼と二人きりになって初めて、博子は浩介に話し掛けた。
「あ、座って。散らかっててごめんなさい。浩介くん、雰囲気が変わってるから、一瞬誰だかわからなかったわ」
博子は新しくカップを取り出すと、先ほど淹れたばかりのコーヒーを注ごうとして、手を止めた。
「そういえば、コーヒー苦手だったわよね。オレンジジュースでいい?」
ふと、亮二が甘めのミルクコーヒーが好きだったことを思い出す。
「え?あ、はい。すみません、じゃあオレンジジュースで…。あの、忙しかったんじゃ?」
珍しく浩介は大人しい。
ちょこんとリビングのテーブルの前に正座して、首だけをこちらに向けている。
「ううん、大丈夫。休憩中だったの」
博子はガラスコップに入れたジュースを彼の前に置くと、向かいに腰を下ろした。
「ごめんなさい、気の利いたもの出せなくて…」
申し訳なさそうに彼女がいうと、彼は大げさに「とんでもないっすよ」と手を顔の前で振った。
その表情があどけなくて、かわいい。
彼は前からそうだった。
思ったことをすぐに口にするけど、その言葉はやけに心の奥底にまで響いてくる。
素直なだけに、何の曇りもない言葉が出てくるに違いない。