チャリパイ8~恋のエンゼルパイ~
「さあ!小説を取り戻しに行くぞ!」
その一時間後には、お揃いの『黒いジャケットに派手な柄のシャツにサングラス』という姿のチャリパイの4人が延滞者のアパートの前に集結していた。
その格好は意味があるのか?
♪ピンポーン
「ん…誰だ?」
アパートの自室で寝転がってTVを観ていた延滞者の大木伸夫は、珍しく鳴った玄関のブザーの音に面倒臭そうな顔で背中を起こした。
「どちらさん?」
「〇〇図書館の者ですが♪」
ドアの外からは、澄んだ女性の声が聞こえた。
〇〇図書館と聞いて、大木は思い出した。
そういえば返却していない小説があった。今度ついでの時にもし覚えていたら返せば良いや…位の気持ちでいたのだ。
大木は、チッと舌打ちをすると頭をボリボリ掻きながら、のっそりと立ち上がった。
.