チャリパイ8~恋のエンゼルパイ~
やがて、もう貰えるビスケットが無いと分かると、猫はクルリと向きを変えて公園の外へと歩いていった。
「ゲンキンな奴ですね。」
「自由なのよ♪」
耕太は、今夜の会話で詩織との距離がずいぶん近付いた事を確信していた。
(今日、本を届けて本当に良かったなぁ~♪もっと小説の話をして話題を盛り上げなきゃ~♪)
「恋愛小説なんかは好きですか?」
耕太は恋愛小説の話を通じて、詩織と愛について語り合いたかった。
「恋愛小説って言えば、図書館で読もうと思ってるのにいつも貸出中の本があるんですよね……」
「えっ?何ていう小説ですか?」
詩織は、その“大人気”でなかなか読む事の出来ない小説のタイトルを答えた。
「reY/著…白いジャージ~先生と私!」
「ああ♪その本なら、僕持ってますよ♪」
「本当ですか!
よかったら今度貸して下さい♪」
詩織は、嬉しそうに瞳を輝かせて耕太の方を見つめた。
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