チャリパイ8~恋のエンゼルパイ~
「それで、依頼の内容というのはどんな事なんです?」
シチローはシリアスな表情を取り繕おうとするが、久しぶりの依頼についつい顔がほころんでしまう。
「実は……」
男は眼鏡をずり上げながら話をし始めた。自然とシチロー達の体が前のめりになる。
「僕の名前は『山口耕太』といいます。この先にある図書館で働いているのですが……」
「わかった♪
その図書館から宝物の在処を示した古文書が見つかって~♪」
「違いますよ……」
子豚の割り込みで、いきなり話は中断された。
「コブちゃん、話の腰を折らないの!
耕太君、続きをどうぞ。」
シチローに促されて耕太の話は続いた。
「その図書館によく姿を見せる一人の女性に、どうやら僕は恋をしてしまったようです。
…ミステリー小説のページを興味深そうにめくるその顔は何とも美しく、僕の心臓は締め付けられそうな程に……」
(単なる恋愛相談かよ……)
身を乗り出していた4人は、揃って溜め息をつきながら椅子の背もたれに背中を預けた。
「あの…やっぱり駄目でしょうか…こんな依頼は?」