永遠の華〜last eternal〜
想う気持ちは
夏の季節を感じさせる暖かさ。
今の時間は19時だというのに、外はまだ微かに明るさがあった。
「はよーっす!
真咲くん、只今出勤〜♪」
バン!と勢いよく扉が開き、鬱陶しい声と共に入ってくる男。
椅子に座っていた俺は視線だけを向けた。
「うるせぇ。少しは静かに入って来れねぇのかよ」
「お、真咲おはよう」
呆れたように言う俺の隣で、悟は笑って挨拶を返した。
「さすがに連日出勤はキツいわー。
俺まだ昨日の酒抜けてねぇもん」
カウンターの中に移動し、ドサッと荷物を置く真咲は腕を伸ばし、軽く欠伸をしていた。
「もう夏だからなー。
こう暑いと酒が美味いっていうだろ」
グラスを拭きながら悟が言う。
この店は、仕事終わりの会社員からキャバ嬢、夏休みに入った大学生など様々な客が利用している。
「だな。ってあれ?玲は?」
Yシャツに袖を通しながら、辺りをキョロキョロ見回している。
ちなみに俺の店は、白Yシャツに黒いネクタイと黒パンツが基本とするスタイルだ。
「玲は今日少し遅れるって」
「げ、あいつ絶対二日酔いだからだぜ」
着替え終わった真咲が、モップを片手にホールの掃除を始めた。
手慣れた様子でテキパキと掃除をする雅貴を、黙って俺は見ているだけだ。
すると視線に気づいたのか、俺の方を振り向く真咲。
「つーか香!黙ってタバコ吸ってないで、少しは手伝えよなー!」
「俺はいいんだよ」
拗ねたように文句を言う雅貴に、俺は冷めた返事をした。
納得いかない表情を見せるが、すぐに軽くため息をつき諦めたご様子。