永遠の華〜last eternal〜

「教頭センセー、話し長すぎだよぉ〜。
美香寝ちゃいそうだったー」



「お前はいつも寝てるか喋ってるかだろーが」




終業式が終わり、各々と帰宅する生徒たち。

玄関を出ると学校の外は、思いのほか日差しが強く私たちに夏を感じさせた。




「ねぇねぇ、この後新しく駅前に出来たカフェ行こうよ!
そこのパフェ、すごい人気なんだって〜」




瞳をキラキラさせた美香が、私たちの方を振り返った。


美香は根っからの甘党。
これでもか!ってくらい甘い物に目がないのだ。




「だって。どうする?」


『んー?構わないよ』



「じゃ行こう!」


「女って本当に甘い物好きだよな」



颯人が呆れたように笑ってくる。




『美香は特にね』



「嫌なら来なくていいのよ、多嶋くん」



「いや、行く」




即答する颯人に、私は思わず笑ってしまった。



「きゃあ〜!!」



「なになに、かっこいい!だれ!?」





校門近くまで歩くと、いきなり女の子たちの黄色い声が上がり、
前を歩いていた美香が興味津々でその先を見つめていた。




「なんだ?」



『……さぁ』




「あーっ!!」




驚き声を上げる美香に、不思議に思った私たちも校門の先を見てみた。



そこには一台の黒いセダンの車が止まっていて、一人の男が立っていた。




「へー。あんな男いるもんなんだなー。イケメン」



「……ゆかり、あれって」



『……何も言わないで』



関心する颯人を隣に、その人物を見てしまった私は思わず固まる。


そんな私の姿に気づいた男が、
怪しい笑みを浮かべつ近づいて来るのが分かった。



わ、笑ってるけど、怖い…!


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