永遠の華〜last eternal〜
「いらっしゃい、ゆかり」
カウンター越しに声をかけてきたのは、悟くん。
開店は夜からという事もあって、まだ私服だった。
『お邪魔します、悟くん』
「あれ、ゆかり何かあった?顔が赤い」
『えっ……』
さっきの香とのことで、未だ治まっていなかった火照る顔。
とっさに頬を覆う私に、悟くんは苦笑いを浮かべた。
「どうせ、香絡みだろ」
『……うっ』
「困ったヤツだなー」なんて言う悟くんの顔を見る限り、
そんな大したようには思っていない感じだった。
この二人は、本当に……!
私の視線に気づいた悟が、手招きをしてきた。
カウンターに座るように指差す彼に、私は素直に従った。
「久々だな、ゆかりがここに来るの」
『あ、そうかも』
「ははっ。高校入ってから忙しそうだったもんな。
昔はよく響也に連れられて来てたけどさ」
『まぁね。兄さんが転勤してからは、一人で来ることもなかったし』