永遠の華〜last eternal〜


「いらっしゃい、ゆかり」




カウンター越しに声をかけてきたのは、悟くん。
開店は夜からという事もあって、まだ私服だった。




『お邪魔します、悟くん』



「あれ、ゆかり何かあった?顔が赤い」



『えっ……』




さっきの香とのことで、未だ治まっていなかった火照る顔。


とっさに頬を覆う私に、悟くんは苦笑いを浮かべた。



「どうせ、香絡みだろ」


『……うっ』




「困ったヤツだなー」なんて言う悟くんの顔を見る限り、
そんな大したようには思っていない感じだった。


この二人は、本当に……!



私の視線に気づいた悟が、手招きをしてきた。

カウンターに座るように指差す彼に、私は素直に従った。




「久々だな、ゆかりがここに来るの」



『あ、そうかも』



「ははっ。高校入ってから忙しそうだったもんな。
昔はよく響也に連れられて来てたけどさ」



『まぁね。兄さんが転勤してからは、一人で来ることもなかったし』
< 62 / 170 >

この作品をシェア

pagetop