永遠の華〜last eternal〜

『にしても、やっぱり人多いね』



「当たり前でしょ。今日はお祭りだし」




そう、今は夏。

私たちの住む所では、夏の時期になると二回に分けてお祭りがある。


今日はその最初の「夏祭り」に来ていた。



辺りを見回せば、色々な出店がワイワイと賑わいを見せていた。



可愛い浴衣に身を包んだ女の子や、幸せそうに歩くカップルなどがあちこちに窺える。


日曜日だけあって、人混みがすごい。

それに夜には、夏祭りのメインである花火大会が待っている。



「花火まであと一時間ってとこだけど、会場に移動する?」


『うーん、その前にいちご飴買う』



「本当に性格に合わない子よね、ゆかり」


『なに、いちご飴をバカにする気?』



「いや、そこ違うでしょ……」




呆れた様子でため息をつき、「この天然娘は……」と呟く声が聞こえた。


……また天然って言いやがった。



よく私は周りに「天然」って言われる。

茉莉いわく、たまに会話が成り立たないらしい。

どこがよ。
絶対認めないんだから。



「また変なこと考えてるでしょ」



『え?』



指をスッと指し出して、私の顔の前で手を止めた。
思わずキョトンとする。



「顔に出てる」



『………そんなことない』



両手で顔を覆って、ムスッとした。
すぐに顔に出ちゃうのが、私の悪い癖だ。




「いちご飴、買うんでしょ?」



『えっ、あ、うん―――』



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