永遠の華〜last eternal〜
「……あいつから連絡は」
透き通るような低い声が頭の中に響き、甘い香りが鼻をかすめた。
腕を掴んでいたのは、香だった。
支えられた腕に力が入って、私は思わず顔を上げる。
『……香?』
その表情が何を考えているのか分からなくて。
冷や汗が頬を伝う。
「……何でもねぇ。行け」
トン、と背中を押され、香は私に背を向けてしまった。
……香?
声をかける勇気もなくて、私はただ戸惑った。
そんな私に、悟くんが「行きな」とでもいうように手を振っていた。
私はもう一度視線だけを香に向けて、ドアに手をかける。
……何なのよ、もう。
私はそのまま無言でドアを閉めた。